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安家地大根(あっかじだいこん)

2017.4.16

執筆者:株式会社岩泉産業開発 岸岡健太

 

【概要】
安家地大根は、岩手県岩泉町安家地区でのみ伝統的に栽培される大根の一種である。比較的締まった肉質の大根は小ぶりで、表皮は紅色・中身は主に白ないし紅色という色合いは美しく、貯蔵性の良さと、生食時の辛味が特徴である。

 

 

中国の寒冷地がルーツであると言われるこの大根は、厳しい安家地区の気候に育まれ、順応してきた。貯蔵性の高さがメリットであったが、戦後は青首大根の普及により栽培は激減していった。しかしながら、「安家地大根」がスローフード国際協会により「味の箱舟」に指定されたことにより、現在は門外不出の地域特産物として守られている。

 


 

【特徴】
例年8月上旬に種を播き、10月ごろに収穫される。そのため10月~11月が安家地大根のシーズンである。改良の進んでいない伝統種であり、種も地域で受け継いで育てており、見た目は均一されておらず個性豊かである。その特徴としては、まず、その締まった肉質から貯蔵性の高さに優れている。

 

具体的には収穫した大根を土中に埋めて保存し春まで食する事ができるほか、朝晩の気温が氷点下10度以下になる厳冬期に、この大根を屋外に干し、凍み大根に加工し乾燥状態にて保管する。この凍み大根作りの行程は、凍てついた畑から大根を掘り出し・煮込み・清らかな湧水に数日漬ける・寒に晒して乾燥という、厳しい気候条件のもと行われる。しかしながら、貯蔵性が高まる上に煮込んだ大根の美味しさは、締まった大根だからこその味わいであり、地域の大事な食文化としても受け継がれている。

 

 

また、生食時の辛味も特徴的である。すりおろすと紅白の色合いが綺麗に活かされ、蕎麦や豆腐田楽の薬味として適しているほか、ナメタケなどのきのことの和え物としても食される。一方で、加熱すると辛味は消失し、紅色も薄まる。締まった肉質なのでじっくり加熱すると、ホクホクと甘い食感を楽しめるため、天ぷらなどの加熱調理にも適している。

 

このように個性豊かな味わいと、地域の文化と共に受け継がれてきたことが注目を集めている一方で、栽培する後継者の確保が課題となっている。

 


 

【流通】
栽培を行う安家地大根保存会、生産振興を後押しする関係機関、集荷と販売を行う(株)岩泉産業開発の連携によって流通していた安家地大根であるが、2016年8月の台風10号により安家地区及び(株)岩泉産業開発が大きな被害を受け、集荷販売機能がストップした。しかしながら全国からの支援により、無事であった畑の安家地大根は、出荷されたところである。

 

いわいずみネットショップ「安家地大根」
(現在は販売終了。販売再開予定は今年の冬以降)
http://www.ryusendo-water.com/?mode=cate&csid=0&cbid=1745394

一般社団法人 KEEN ALLIANCE
岩泉町移住コーディネーター穴田光宏