TW(てーだぶ)
執筆者:森林コンダクター 松永充信
岩泉の林業を支える旧式高性能林業機械。岩泉町になくてはならない林業用運搬トラック。
関係者の間では、日本林業史上最強のフォワーダ(林業用運搬車)といわれる。
町内ではチップ用の広葉樹丸太を横積みして走っている姿がよく目撃される。
岩泉町民はTWを「テーダブ」または「ティーダブ」と呼ぶ。「ティー・ダブリュウ」とは言わない。
いまとなっては昭和の香りがするボンネットのフォルムで、珍しい3軸の全輪駆動車。
<Wikipedia:TS/TW>
TS/TWとは、かつていすゞ自動車が製造していた全輪駆動のトラックである。
1951年に警察予備隊の誕生や大規模な開発工事が本格化し、不整地走行に適したトラックが求められた時代の流れを受け、開発された。その後も除雪や電源開発工事、木材輸送など、山間の悪路、砂地、泥濘地等を自在に走行することの出来る強力な駆動力が必要となる業種から一定の需用があったため、1993年まで(民生用は1986年まで)フルモデルチェンジすることなく生産された。本車種は日本における最後のボンネットトラックとなった。
いすゞ自動車によると、
T・・・トラックの「T」。戦前からトラックに付与しており、あくまで推定。因みにバスは「B」。
W・・・6×6全輪駆動であることを表す記号。Sは4×4全輪駆動を表す。
6×6・・・車軸の構造は(全輪数:タイヤをつける場所数)×(駆動数:動くタイヤ数)で表現され、
TWはタイヤをつける場所が6箇所(左右3箇所ずつ)あり、全輪駆動なので6×6
TWはアルファベット2つで「6×6全輪駆動のトラック」を表現していることになる。
販売当時のパンフレットをみると、色やISUZUのプレートの位置が若干異なるが、現在とあまり変わらない姿が確認できる。
生産終了から20年以上経っているが、急峻な山が多い岩泉では主流の大型トラックが入れず、未だ現役。山の斜面にジグザグにつけられた道を、スイッチバックで力強く登っていく。山から丸太を積んでそのまま持ち込めるチップ工場が町内にあることから、岩泉町で生き残ったのではないかと推測される。岩泉町民にとっては見慣れているトラックだが、町外の方にとっては物珍しく、特に女性に人気が高く、「かわいい」「萌える」との感想が多数寄せられている。林業会社によっては目的に合わせて荷台部分を改造したりと、バラエティも豊かである。
実際、岩手県外でほとんど見ることができず、岩泉町が日本で一番TWが残っている地域となっている。岩手県全体の16%、全国シェアで7.5%を占める。東北に集中していて、西日本は少なく、四国には1台もない。
近い将来、岩泉町で「テーダブ祭り」が開催されるとのうわさもある。
※TW記号意味、販売当時パンフレット、保有台数情報はいすゞ自動車様からご提供頂きました。
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『あしたの恵み、岩泉。』