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畜産インターン@岩泉2025(岩泉町地域おこし協力隊インターン)報告レポート1
岩泉町では昨年に引き続き今年も9月に、畜産インターン@岩泉を実施しました。今年は3名の岩手大学 農学部 動物科学科の学生が参加してくれました。2週間に渡り、岩泉町の様々な畜産と課題を知って貰うため、養豚・酪農・肉牛のそれぞれの農家にお世話になったほか、地域のイベントなどにも行きました。参加学生のレポートを順番に紹介していきたいと思います。

岩手大学 農学部 動物科学科2年
菊池結衣
1. 参加した理由
大学からのメールでこの畜産インターンを知りました。高校時代は動物園や野生動物に興味があり動物科学科に入学しましたが、講義を受ける中で畜産にも興味を持つようになり、将来の選択肢の一つとして畜産の勉強をしたいと思ったのがきっかけです。
このインターンに参加するにあたって、生きている動物と接するということや、委員会や部活などの活動もあり、様々な不安がありました。しかし、今後動物や畜産の勉強をするために、実際の現場を自分の目で確かめたいと思いました。講義や本などで得た知識から想像する畜産と、実際の現場では大きな差があるのではないかと考え、自分の中にある「畜産」というイメージを変えたいという思いで参加しました。
2. 作業内容
・龍泉洞黒豚ファーム
1日目:豚舎掃除、給餌、豚の移動補助、コンクリート基礎づくり、豚の放牧
2日目:豚舎掃除、給餌、生コンクリート敷き、豚熱ワクチン接種補助
3日目:豚舎掃除、給餌、鉄剤注射・去勢補助、豚の移動補助
・佐藤あきえさん宅(黒毛和牛・短角和牛生産農家)
短角和牛放牧地見学、牧草地見学、黒毛和牛・短角和牛牛舎見学
・大川肉牛生産組合 兜森放牧地
バイチコール・アイボメック(駆虫剤)塗布
牛5種混合生ワクチン(牛伝染性鼻気管支炎、牛ウイルス性下痢、牛パラインフルエンザ、牛RSウイルス感染症、牛アデノウイルス感染症)接種の見学
・阿部牧場(黒毛和牛)
牛舎掃除、給餌、ロールのビニールたたみ、仔牛への授乳
・工藤牧場(酪農)
給餌、水替え、牛舎掃除、搾乳体験、石灰塗布、直腸検査体験
・佐藤文喜さん宅(黒毛和牛・短角和牛生産農家)
削蹄見学、牛舎掃除

3. 感想
今回のインターンを通して、普段講義を受けたり、本を読んだりしているだけではない分からないことを多く学ぶことができました。
これまで、家畜はいずれ出荷されるため、畜産農家の方々に対してどこか淡々としたイメージを抱いていました。しかし、実際に農家さんの仕事を見て、体験し、お話を伺う中で、一頭一頭を大切に育て、深い愛情を注いでいることを実感しました。仔牛の名前や由来を覚えていたり、それぞれの性格を教えてくださったり、毎日一頭一頭と向き合っているからこそできることだと感じました。
また、実際に作業を体験して、農家さんの大変さを実感しました。掃除や給餌など、一見簡単に思える仕事も力のいる作業であり、それを毎日暑くても雨が降っていても続けなければならないのはとても大変なことだと分かりました。さらに、飼育頭数が多くなればなるほど餌や排泄物の量も増え、それに伴い労働力も増し、農家さんの負担は一層大きくなります。高齢化や人出不足といった課題がより現実の問題として感じられました。
加えて、岩泉町のみなさんと交流して地域のつながりの強さを感じました。道ですれ違ったときや、名前を口に出したとき、その人がどんな仕事をしているのか、どんな人柄なのかを教えてくださり、地域全体が支え合っているということが伝わってきました。普段の生活ではなかなか味わうことのできない人との距離や温かさを感じ、このような地域の在り方はとても魅力的だと感じました。
これまで私は、将来は動物園や野生動物などの研究に携わりたいと考えていました。しかし、このインターンに参加し、畜産の体験だけでなく地域のみなさんとの交流を通じて、将来は農家の方々と関わり、畜産を支援する立場になりたいと考えるようになりました。農家の方が口をそろえておっしゃっていたのが、「獣医師や削蹄師、受精師が少ない」といった人材不足や「飼料が足りない、価格が高い」といった経済的な課題でした。さらに、実際に作業を体験してみて、体への負担が大きい作業が多い一方で、機械を使っていない農家さんが想像以上に少ない印象を受けました。そのため、経済面や技術面、人手などの多方面から畜産の支援をし、盛り上げていきたいという思いが強くなりました。
今回のインターンでは、新しい発見や多くの学びがありました。黒豚や短角和牛、黒毛和牛を間近で観察できたこと、また豚の去勢や牛の直腸検査を見学できたことは初めてで、どれも貴重な体験でした。この2週間で得た経験と学びを忘れず、将来の進路にしっかりとつなげていきたいと思います。
4. 謝辞
今回のインターンシップでは、大変多くの方にお世話になりました。龍泉洞黒豚ファームの高橋さん、佐藤あきえさんをはじめとする大川肉牛生産組合の皆様、佐藤文喜さん、佐藤伸江さん、阿部牧場の皆様、工藤牧場の皆様、本当にお世話になりました。学生の私たちに実際に作業をさせていただけたこと、貴重な現場を見学させていただけたこと、心から感謝申し上げます。お忙しい中、たくさんのことを教えていただきありがとうございました。
また、このような貴重な機会を設けていただいた岩泉町そしてKEEN ALLIANCEの皆様に感謝申し上げます。企画・運営に加え、朝早くから夜遅くまで送迎やミーティングなど、本当にお世話になりました。2週間私たちの活動を支えていただきありがとうございました。
繰り返しになりますが、今回のインターンシップで出会った皆様へ心より感謝申し上げます。新たな発見があり、充実した2週間を過ごすことができました。この貴重な経験を今後の学びに活かしたいと思います。
