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岩泉町地域おこし協力隊インターン(畜産インターン@岩泉2024)報告4
9月に実施した畜産インターン@岩泉2024の報告レポート最後です。
1人目高橋一華さんの報告レポートはこちらから
https://0194.net/chiikiokoshi/1477/
2人目大場彩花さんの報告レポートはこちらから
https://0194.net/chiikiokoshi/1490/
3人目菅野李香さんの報告レポートはこちらから
https://0194.net/chiikiokoshi/1500/
今回の畜産インターンは2週間と若干長めで、かつ期間中は岩泉町の施設に泊まり込みというものでした。しかし学生の感想の中にも書かれていましたが、畜産農家は365日24時間、動物たちと向き合っているわけで、例え2週間の泊まり込みインターンでも農家の生活からすれば、ほんの僅かでしかありません。それでもなお、今回のプログラムが学生たちにとって有意義であったのは、教室の中では学ぶことの出来ないものがあったからだと思います。
学生たちが大学卒業後どのような進路選択するかは分かりません。ただ間違いないのは教室とは違う社会の中で、生きていくという事です。インターンを通じて自分たちが進み、生きていく社会がどのような社会なのか、そして自分がどのような選択をして、どのように生きていくのか、考えるきっかけにしてほしいと思っています。そしてまた、農家で更に学びたいと思ったら、ぜひ岩泉町に来てください。いつでも歓迎します。
右手前が高橋明希さん
岩手大学 農学部 動物科学科2年
高橋明希
〇インターンシップに参加したきっかけと理由
私は大学でLivestock研究会に所属しており、その先輩からの紹介で今回のインターンシップについて知りました。以前から畜産に強い興味があり、授業や書籍などで調べたことから自分なりに課題解決に向けた考えをまとめてきました。しかし、考えを重ねるほど現場での経験が圧倒的に少なく、「このままでは机上の空論になってしまう」と感じることが多くなりました。また、将来畜産に携わる仕事をしたいけれども、具体的にどのような仕事が畜産に関わっているのかはほとんど知りませんでした。そのため、実際に作業を体験でき、農家の方や関係者の方と直接お話しできる今回のインターンシップに参加しました。
〇活動内容
【龍泉洞黒豚ファーム】
1日目 | 2日目 | 3日目 | |
活動内容 | ・豚舎の清掃 ・母豚を分娩舎へ移動 ・子豚へ豚熱ワクチンや鉄剤投与の補助 |
・豚舎の清掃 ・育成舎から肉豚舎へ移動 ・種付け練習の見学 |
・豚舎の清掃 ・分娩舎から育成舎への移動 ・育成舎から肉豚舎へ移動 ・子豚へ豚熱ワクチンや鉄剤投与の補助 |
【工藤牧場】
1日目 | 2日目 | 3日目 | |
活動内容 | ・牛舎の清掃 ・給餌 ・石灰散布による消毒作業 ・繁殖検診の見学 |
・牛舎の清掃 ・給餌 ・牛の洗浄と毛刈り ・子牛の床材交換 |
・牛舎の清掃 ・給餌 ・搾乳 |
【ガイダンス】
岩泉町の畜産について、農作業中の安全について
【全農いわて中央家畜市場】
和牛市場のセリの様子を見学。
【短角牛農家】
牛舎の清掃、給餌、牛の観察、子牛にミルクを与える。
【その他】
岩泉町地域おこし協力隊の方のお話
〇感想
まず、2週間という長い期間で岩泉の畜産に直接触れながら、畜産に興味がある学生とともに学ぶことができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。岩泉に対してインターンシップ参加前は龍泉洞と短角牛が有名という印象がありましたが、参加後は山間部の急勾配で営まれている畜産と、その畜産に携わる方々の力強さに圧倒されました。特に農場から辺りを見渡すと農場が山々に囲まれている様子がよくわかり、その迫力とその土地を開拓してきた方々の努力に感嘆しました。
農家での実際の作業を体験させていただくことは、自分にとって初めてのことでした。作業は予想よりはるかに体力を使い、息が切れることも度々ありました。そんな自分に対して、生産者の方々は正確に効率良く作業をこなされていて改めて「かっこいい!!」と感じ、それが生産性に直結するのだと身をもって知りました。
また、生産者の方々や生産者に関係している方々と直接お話をさせていただいたことで、自分の考えの穴に気づくことや新たな視点を掴むこと、畜産に関係する仕事を知ることもできました。正直なところ、その道のエキスパートである方々に現場を十分に知らない自分が考えを述べることには緊張しました。しかし、とても真摯に向き合ってくださり、考えをさらに深められました。共に研修した学生とも宿泊施設などで議論を交わすことができ、お互い刺激を受け合うことができたと思います。
将来どのように畜産に関わっていくのかはまだ決まってはいませんが、消費者が畜産を自分事として捉えられるような環境づくりと、消費者が生産者の立ち位置を理解し、畜産に関する課題への考え方が二者の間で同じになるような取り組みを行いたいです。根本的に生産者と消費者は立ち位置が異なるため、同じ課題に向き合うとしても二者の考え方は異なってきます。例としてアニマルウェルフェア(AW)を挙げると、二者とも「命を大切に」という考えは共通しています。しかし、生産者は自身の生活を支える存在である家畜への感謝の方向から、消費者はかわいそうという感情の方向から「命を大切に」を捉えていると私は考えます。消費者の考え方を生産者と全く同じにしていくことは難しいですが、考え方の差を縮めていくことができれば国全体で畜産を盛り上げながら支えていくことができるのではないかと感じました。
〇謝辞
最後となりますが、今回のインターンシップにおいて日々多忙にもかかわらず、あたたかく受け入れてくださった龍泉洞黒豚ファーム様、工藤牧場の皆様、佐藤牧場の皆様、企画と運営をしてくださった岩泉町、一般社団法人KEEN ALLIANCEの皆様に深く感謝申し上げます。
また、家畜市場でお話を聞かせてくださった農家の皆様、岩泉町地域おこし協力隊の皆様など、多くの岩泉町の方々にお世話になりました。本当にありがとうございました。