岩泉町地域おこし協力隊

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岩泉町地域おこし協力隊インターン(畜産インターン@岩泉2024)報告2

2024.10.9

 9月に実施した畜産インターン@岩泉2024の報告レポート二人目です。

1人目高橋一華さんの報告レポートはこちらから
https://0194.net/chiikiokoshi/1477/

 今回参加した学生に話しを聞くと、全員が「動物福祉(アニマルウェルフェア)」への関心が高かったです。私も農学部の出身ですが、私が学生だった30年前にはほとんど聞いたことが無い単語です。いつの時代も、学生たちは時代の先端に触れ、それを現場に持ち込み時代は変わっていくのだと思います。

 学生たちは机上や本からは見えてこない現場を学び、地域は学生が持ち込む新しい時代を感じる。そんなインターンを作りたいと思っています。

大場さん写真
左側青いシャツが大場彩花さん

岩手大学 農学部 共同獣医学科2年
大場彩花

1. 動機
 夏休み中のインターンの参加を考えていた際、所属していたサークルでこの畜産インターンのことを知りました。大動物に興味があり、畜産の現場を実際に見たり体験したりすることで自らの視野を広げたいと考え応募しました。また、将来どのような獣医師になりたいか考えるきっかけにしたいと考えました。

2. 作業内容
 龍泉洞黒豚ファーム
  ・豚舎の掃除、餌やり
  ・豚の移動
  ・鉄剤、抗生物質、豚熱ワクチン注射の補助
  ・断尾、去勢の補助
  ・種付けの見学

 工藤牧場
  ・牛舎の掃除、餌やり
  ・敷きわら、もみ殻の交換
  ・獣医さんの仕事の見学
  ・共進会に出す牛の洗浄
  ・搾乳体験

 その他
  ・役場にてガイダンス(岩泉町畜産概要、農作業安全)
  ・和牛中央市場の見学
  ・短角牛の繁殖と肥育及び黒毛和牛の繁殖を行う農家の見学
  ・岩泉町地域おこし協力隊の方のお話

3. 感想
 今回のインターンで一番印象的だったのが農家さんの家畜に対する姿勢です。インターンに参加する以前、私は畜産に対して少し無機質なイメージを持っていました。大学の講義では「動物福祉」という言葉を聞く機会が多くあり、生産性を重視する畜産の現場では「動物福祉」に配慮した飼育が課題になっているという話をよく耳にしていたからです。実際家畜は経済動物であり、農家さんは利益を考えなくてはならないため畜産農家さんに対して漠然と動物よりも利益を優先するような姿を想像していました。

 しかし今回養豚農家さん、酪農家さん、肉用牛農家さんそれぞれにお話を聞き実際に作業をお手伝いさせていただく中、農家さんが一頭一頭本当に愛情をもって接している姿を見て、私が持っていたイメージと実際とは異なる部分があるのだと実感しました。どこの農家さんでも、家畜は鳴いたり体を使ったりして感情を表し農家さんはその意味を理解して応えているように感じました。また、家畜に名前を付けている農家さんもいました。

 このように、ペットと家畜は違うものの同じくらい大切に育てているのだと実際に農家さんを見て感じました。

 私は、インターンの前から将来は動物だけでなく飼っている方に寄り添える獣医師になりたいと考えていました。そして今回畜産農家さんの姿を見てより一層その思いが強くなりました。工藤牧場さんに来ていた獣医さんが「相手あっての獣医師」ということをおっしゃっていましたが、獣医は動物だけでなく飼養している方と向き合う必要のある仕事だと思います。インターンで学んだことや貴重な経験を胸に動物にとっても人にとっても必要とされるような獣医師を目指して今後も頑張りたいです。

4. 岩泉町について
 私は今回のインターンで初めて岩泉町に訪れました。岩泉町は自然豊かな静かな場所ではありますが、山間地域にあり今回宿泊した農業体験交流施設も町から離れた山道を登ったところにありました。

 お世話になった農家さんもそのような山あいにあり、広大で平坦な土地を利用できないことや坂を上り下りしなければ畜舎を移動できないこと、さらに冬の寒さが厳しいことを考えると岩泉町で生活し畜産を営む大変さを感じました。また、イノシシやクマなどによる飼料作物への被害もあると農家さんがおっしゃっていました。

 一方で、岩泉ヨーグルト、龍泉洞黒豚、短角牛といったおいしいものがたくさんあり、地域の方が温かいところが魅力だと感じました。また、地域おこし協力隊の方など移住者の方が多いことが印象的でした。今回インターン期間中にお話を伺った鎌田優さんも短角牛に魅力を感じ岩泉町地域おこし協力隊として移住した一人で、地域の短角牛農家さんの肉を加工販売することで短角牛を広める活動をしているそうです。

 私は地域おこし協力隊という言葉は聞いたことがありましたが、実際に隊員の方にお会いしたことは無かったため、もとから岩泉町に住んでいる方と移住した方が協力して地域を支えているという点が岩泉町の興味深いところだと感じました。

5. 謝辞
 本インターンシップにおいて温かく受け入れてくださった龍泉洞黒豚ファームの皆様、工藤牧場の皆様、佐藤牧場の皆様に感謝の意を表します。貴重な経験をさせていただき本当にありがとうございました。

 また、鎌田ご夫妻には、地域おこし協力隊としての活動など様々なお話をいただきました。和牛市場でお会いした農家の皆様などにも、興味深いお話を聞かせていただきました。大変勉強になりました。

 最後にこのインターンを主催してくださった岩泉町役場の皆様、運営そして岩泉町での生活をサポートしてくださったKEEN ALLIANCEの皆様大変ありがとうございました。本インターンシップにおいては将来につながる有意義な時間を過ごすことができました。この貴重な体験を今後に生かしていきたいと思います。

黒豚ファーム内

一般社団法人 KEEN ALLIANCE
岩泉町移住コーディネーター穴田光宏