岩泉町地域おこし協力隊

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広葉樹専門フォレスター 岡部文彦さん

2023.3.13

山暮らしをしたくて、岩泉へ

山田町で生まれ、小岩井農場の近くで育ったという岡部さん。高校を卒業後は、東京でファッション関係の仕事を約26年間したのち、2020年に岩泉町地域おこし協力隊に着任。「広葉樹専門フォレスター」というテーマで活動しています。ファッションとはかけ離れた業界に見える山の活動を、なぜ始めたのでしょうか。「東京ではアウトドアファッションの仕事をすることもありました。そこから自然と、山暮らしに興味を持っていたのがきっかけです。」

岡部さんは「山暮らしはアウトドアの究極の形」と言います。「子どもの頃から、自然の中で遊ぶのが一番楽しかった。東京にいると、わざわざ自然遊びをするためにどこかに通ったりしないといけないんですよね。それなら住んだ方がもっと面白いと思っていました。」

「岩泉に住んで山の活動をしている理由としては実は他にもあります。東京にいた頃、バリカンズという頭を刈り上げている仲間でチームをつくって“刈る”活動をしていたのですが、例えば田んぼで稲を刈っても仲間たちは興味を持たなかったりして…それをもっとかっこよくやりたいと思って、木を刈ってみようかなと(笑)」岡部さんだからこそ、ファッションと山の業界が繋がったのですね。

実際に生活してみて気がついた、岩泉に眠る木の文化

岡部さんは、「岩泉は木の文化がすごい」と言います。「林業をやってない人でも、イタヤ(カエデ)はスキー用にいいとか、ヤマナシの木は燃えにくいとかいうことを知っているんですよ。」

岩泉の木の文化を知って思うのは「広葉樹は価値がある」ということ。「地元の人が知っているような情報を、買う側の人ももっと知ることが出来ていけば、例えば机を買うならこの木が良い!水回りにはこの木がいい!みたいな選択肢があって良いと思います。洋服を買うときに、ウールとかコットンとか良質の素材を選ぶように、木もファッション感覚で種類を選べるようになれたら、もっと木の価値が理解され、国産の木材が利用されるのではないか?と考えているんです。」

また、岩泉の木の文化は生活の中だけでなく、遊びの中にも根付いているそうです。「雪板というスノーボードのような遊びがあります。削った木の板に乗って雪が積もった傾斜をすべる遊びなのですが、この雪板は協力隊の仲間から作り方を教えてもらいました。(雪板など)山で遊ぶことで整備にも繋がります。」

遊ぶことが森の整備になるというサイクルを作りたい

今後は、山や森の整備もしながら、広葉樹の流通も変化させていきたいと思っているそうです。「環境整備というよりは、山で遊ぶこと自体で整備になって、そこから伐って出た材を使って木材を作るような流れを作っていきたいです。」

「今はそもそも木(広葉樹)の種類ってこんなにあるんだよ!と伝えられてないから、買う人も選択肢がない気がするのだけど、今時のSNSなども使って上手に伝えられれば、買う人も見方が変わる気がします。木の特性を知れば、この木が欲しいという人も出てくるのではないかなって思ってるので、もっと広葉樹の木のかっこよさを伝えていきたい。」

「ファッションと林業」という岡部さんならではの構想は、これからの林業に新たな刺激を与えてくれそうです。

写真:井田祐基 文:上之原良美

一般社団法人 KEEN ALLIANCE
岩泉町移住コーディネーター穴田光宏